令和元年 長崎くんち 扇子絵を描きました
僕は長崎に生まれ、5歳から地元のお祭りに参加しています。
「長崎くんち」とは
「長崎くんち」は長崎の氏神「諏訪神社」の秋季大祭。
寛永11年(1634年)、二人の遊女が諏訪神社神前に謡曲「小舞」を奉納したことが長崎くんちの始まりと言われています。
以来、長崎奉行の援助もあって年々盛んになり、さらに奉納踊には異国趣味のものが多く取り入れられ、江戸時代より豪華絢爛な祭礼として評判だったそうです。
この奉納踊は、国指定重要無形民俗文化財に指定されています。
<開催期間> 毎年10月7日・8日・9日
毎年秋に長崎の3つの氏神が御旅所という場所に旅に出て、市民がその道中や各場所で奉納を行います。奉納を任される踊町は決まっていて、7年毎に出番が回って来て奉納を済ませて、神から受けた福を市民におすそ分けしていく「庭先まわり」をしていく3日間。
奉納を手伝い仕切る「年番町」という役回りも踊町から4年ずれて7年サイクルでつとめます。
長崎くんちは市民の活力、流れる血
市内には出店も多く立ち並び、街中を踊町のダシが練り歩く。囃子の音、掛け声、シャギリが鳴り響き、市民みんなが賑わい、楽しみ、喜び、一年の経過を味わいながら、それぞれの3日間を過ごすわけです。
自分もその一人で、おくんち本番の10月が近くなる今の時期、稽古に励む踊町の様子がジワジワとお祭り熱をあげてくれます。
長崎くんちグッズ
お祭り期間中は様々なお祭りに関係するグッズも販売されます。
代表的なのが「手ぬぐい」
踊町独特の図柄で、記念品や贈り物、そして根曳(※ねびき;船などの出し物を曳く人)の汗のついたハチマキ(手ぬぐい)は縁起物として喜ばれます。
そしてすべての踊町を一枚に描いた手ぬぐいもお土産に人気です。
扇子の図案を制作
今まで自分が生まれ育った町の手ぬぐいや扇子の図案制作を任されてきましたが、今回念願だった踊町をまとめた図案を任され、扇子として販売されました。
長崎くんちが大好きで、様々な踊町の出し物はそれぞれ魅力的で、みんな輝いています。
そんな輝きをおくんち好きの視点で描きたかった。
今年の踊町は5町。船2隻、踊り3つ。
記念すべき令和元年には、長崎くんちの顔のひとつ、「籠町の龍踊(じゃおどり)」も出番です。
籠町 龍踊
長崎くんちの顔というか、長崎の顔ですよね。
「長崎」と画像検索すれば出てくる龍。龍踊はたくさんの町や保存会で披露されていますが、元祖・本家がこの籠町。その龍の顔も唯一の表情で勇ましい。
勢いよくトグロを巻いて、月とされる金の玉を追う勇ましさを表現しました。
玉使いの表情と龍との対比を描き込みました。
江戸町 オランダ船
江戸町は近所で、同級の幼馴染が育った町。
彼も何度もくんちに関わり、今年も根曳として参加しています。
その昔、長崎は唯一海外との貿易が認められた出島がありました。出島には多くのオランダ船が貿易にやってきて、出島と長崎を繋ぐ橋の架かる門前町の江戸町にはオランダ人から贈られた品もあり、オランダとの関係が深い町です。
マリンブルーの美しい蒼い船体と金色のコントラスト、そして船をとりまく根曳を波として描きました。
今博多町 本踊
「おくんち」に本来奉納されていたという本踊のルーツと言われる今博多町。
かつて遊芸を生業にしていた人たちが多く住んでいたため、長崎くんちの最初の奉納踊りに「本踊」を披露した歴史のある町。
図案は長崎港から舞ってきた鶴を表現した踊りを描きました。本来は6羽の鶴として奉納されています。円形の領域で仕上げるため4人にしています。
鶴の白い衣装に映る、秋の日差しと地面から跳ね返る逆光でその美しさを表しました。
魚の町 川船
かつて魚市場があった魚の町はその町名にちなんで川船を奉納しています。
踊町には7隻の川船があり、毎年川船が披露されていて、おくんちには欠かせない出し物。
この町の引き回しは古式にのっとって、「右2回転半」の正統派の演技。川魚を網で一網打尽にする網打ち船頭(小学生ほどの男子)が見所です。
網打ちを強調したくて、鯉と船頭をモチーフに選びました。長崎刺繍が美しい衣装を脱ぎ捨てる時の仕草の勇ましさを描きました。
玉園町 獅子踊
長与の吉無田郷の保存会によって奉納される獅子踊りはとても面白く、子供たち(玉使い)と獅子のやりとりとユニークでアクロバティックな動きが見ものの出し物。
美しい牡丹に狂い戯れる様子と可愛い玉使いの演技を描きました。
牡丹の紫、玉使いの赤、そして獅子の色鮮やかなたてがみが激しい動きによって扇状に広がる瞬間を強調しました。
長崎市内のお土産ショップで販売予定です
現在の販売店舗は以下