はじめてのシャッターアート
これまで8か所の店舗内壁画を制作してきましたが
2024年4月。この度シャッターアート(3面)の依頼をいただき制作しました
シャッターへの描画は初めて
屋内壁画の経験をできるだけ活かして、シャッターアート制作を実績として残したいという思いで、まずは調査から始めました。
- 使う絵の具の事
- 必要な道具類の事
- 屋外だから制限される事
- 屋外だからできる事
- 他の作品の傾向
使う絵の具の事
雨、風、陽に晒され、可動が多いシャッターは劣化が心配。
いつも使うアクリル絵の具ではなく、錆止め、防カビ剤配合のアクリル、ウレタン、シリコン塗料を選びました。
シャッターのある店舗はからすみ屋さん。周りには飲食店や八百屋も多く、臭気がほとんどしない水性を選択。(油性に比べ、耐久性が劣るらしいです)
テスト用にペンキをいくつか購入。
調色性、臭気、感想速度を試し塗り。
ペンキの色数はどのメーカーも30色程でラインナップに偏りがあり鮮やかさに劣る印象でした。
ペンキは色が少ないのが難点
ビビットな紫やターコイズ等は売ってなく、ペンキでは表現できないと感じました。
必要な道具類の事
ペンキにすることで缶を扱う事になり、缶オープナーや絵の具の取り出し用にヘラを新たに購入。
でも結果、それらは必要なく。よく使う色は100円ショップで買ったボトルに中身を移し利用したことがよかったです。ピンクやベージュ、グレーなども購入しましたが、結局使う事はなく調色して作ってました。
よって、用意する必要な色は、黒・白・赤・青・黄でOK。水の希釈もまったくしませんでした。
絵の具以外に使ったもの
- ブルーシート
- 布マスカー
- 養生テープ
- カラーコーン(パイロン)
- 糸(正円を描くため)
- 黒、白マジック(下書き用)
- バケツ(筆洗用)
- 刷毛(大中小)・面相筆
- タオル複数枚(絵の具拭き取り、筆洗後の水分取り)
- プラケース(扱いやすいが捨てにくい)、紙コップ(倒れやすく使いにくいが捨てやすい)
- ステップ
- 道路使用許可(警察で手続き)
屋外のデメリット
今回の現場は人通りの多い商店街の4つ角。
歩行者専用道路と車道が交差する、車も人も行き交う通沿いです。
念の為、道路使用許可も取得しました。(¥2,400)
真後ろ・真横を車や人が通るため、絵の具の飛散には特に注意をしながら、形のバランスを確認するため、つどつど面から離れて眺めますが、人や車にぶつからないよう注意しました。
雨が降りそうな時は、乾燥をはやくするため薄塗りを心がけたり、休憩が室内ほど頻繁には取りにくい点も難点でした。時期は4月でしたが、青天時はしっかり暑い。
屋外のメリット
屋外では多くの人の目に触れながら進めていく点が、屋内との大きな違いですね。
周辺のお店の人、毎日同じ時間に通る買い物客。
絵が進むにつれ、いろんな方に声をかけていただき、コミュニケーションが活発でした。
ペンキは乾きが早いので長話はできませんが、声をかけていただいて嫌な思いはなくとても嬉しかったんです。これは自分も気づきでしたが、ほとんどは孤独に制作を進めるので適度な息抜きになるし、何より観覧者の意見はとてもパワーをいただけるのです。
店内壁画と屋外シャッターの制作面の違い
シャッター(屋外)の場合、夜間の制作は向かない
店内壁画の場合、店休時や工事終わりを狙って行うので夜間がほとんどですが、今回の場合、店休日がないお店のため、日中に店舗営業と同時に制作。
1面ずつシャッターを降ろして描きました。シャッターの全面を一度に見ながら描けない点は苦労しました。
シャッター(屋外)の場合、場合によっては「道路使用許可」が必要
今回、公道にブルーシートを広げて制作する必要があったので、警察署に聞いたところ「申請してください」となり許可を取得しました。制作期間中に「許可証」を提示する機会はありませんでしたが、様々な人達が行き交う通りだったためお守り代わりにはなったかも。
壁の凹凸問題
古いシャッターだと凹凸が少ないものがありますが、最近の新しいシャッターは細かい凹凸があり、筆で描く場合はとても描きにくいので面相筆(細い筆)が欠かせませんでした。
天候問題
強風を考慮した養生ではブルーシートは養生テープでしっかり貼り付け、さらに風に飛ばされないよう鉛の重りを置きました。降雨が予想される場合、早めに切り上げ乾燥を優先させる必要があるため、お天気アプリが便利。
日中の強い日差しの時には腕やうなじも日焼けするし、夕方になると明かりが変わり色もわからなくなりました。
観覧者の有無
屋外の場合は多くの目に触れ、そして感想や意見がありました。会話するために手を止める必要があるし、筆を振った時の絵の具の飛散にも注意が必要です。多くの目に見られる点で、服装、髪型など自分の容姿にもこれまで以上に気を配る必要があります。
使う絵の具が違う
屋内用の絵の具はアクリルで色数も豊富。
屋外ペンキの場合、劣化への対応として錆止めなどの役割がありますし、良くも悪くも乾燥が早い点は制作中に気にする必要があります。
光沢については、ペンキにもマットなものもありますが、光沢があるものを使用。
光沢感も手伝って、絵の高級感や耐久感も感じられると思います。
無事完成
あとはどれだけの耐久性があるのか、観察を続けていきます。一般的な実証値は5年前後。
3年後にはこの街はお祭りの出番がくるので、最低でもそれまでは華やかさを失わず残って欲しいです。